オルホルグリプロンとは?飲むGLP-1の新薬の効果・副作用と日本での承認時期を医師が解説

2026.09.23  
オルホルグリプロンとは?飲むGLP-1新薬 日本での承認はいつ?効果・副作用

「ニュースで見た、いつ飲んでもいい痩せる薬。あれはもう出してもらえるんですか?」

2026年の春から、診察でこう聞かれることが急に増えました。話題になっているのはオルホルグリプロン(オルフォルグリプロンと表記されることもあります)。アメリカで承認された、飲むタイプのGLP-1の新薬です。

先に結論をお伝えします。オルホルグリプロンは、2026年9月時点で日本ではまだ承認されていません。当院を含め、国内の医療機関で正規に処方することはできない薬です。

それでも「どんな薬なのか」「待つ価値はあるのか」は気になるところだと思います。海外の試験結果と、いま日本で選べる治療との違いを、処方する医師の立場から整理します。

目次

オルホルグリプロンとは?ひとことで言うと「制限なく飲めるGLP-1」

オルホルグリプロンは、食欲や血糖に関わるホルモン「GLP-1」と同じ働きをする飲み薬です。マンジャロやリベルサスと同じ系統の薬と考えてください。

もともとは日本の中外製薬が生み出した薬で、2018年に米国のイーライリリー社が世界での開発・販売の権利を引き継ぎました。アメリカでの商品名は「Foundayo(ファウンダヨ)」です。

項目内容
一般名オルホルグリプロン(orforglipron)
米国での商品名Foundayo
生み出した会社中外製薬(開発・販売はイーライリリー)
薬の形錠剤、1日1回
米国での承認2026年4月1日(肥満症)
日本での状況承認申請中・未承認

リベルサスとの決定的な違いは「飲み方の制限がない」こと

飲むGLP-1には、すでにリベルサスがあります。ただしリベルサスは、朝いちばんの空腹時に、コップ半分以下の水で飲み、その後30分は飲食できないという決まりが厳しい薬です。薬そのものがタンパク質に近い構造で、胃の中で分解されやすいためです。

オルホルグリプロンは構造がまったく違う「低分子」の薬で、胃で壊れにくいつくりになっています。そのため食事の前後を問わず、1日のどの時間に飲んでもよいとされています。

リベルサスが続かない理由として、「朝の30分が守れない」という声はよく聞かれます。朝食をとらずに出勤する方、朝に別の薬を飲む方にとって、この違いは小さくありません。

日本ではいつから使える?承認の状況

いちばん多いご質問です。2026年9月時点で分かっていることを、確かさの順に並べました。

国・地域状況
アメリカ2026年4月1日に承認(肥満症)。2型糖尿病は審査中
イギリス2026年8月10日に承認(体重管理・2型糖尿病)
EU申請済み・審査中
日本肥満症で申請済み。承認はまだ

日本については、リリー社が2026年2月の決算資料で「肥満症で日本に申請した」と公表しています。2型糖尿病についても国内で申請されたと報じられています。

ただし、いつ承認されるかは公式には示されていません。インターネット上には「年内」「来年」といった予想も見かけますが、承認のタイミングは国の審査しだいです。当院では時期の予想はお伝えしていません。

承認されても、すぐにダイエット目的で使えるとは限りません

もうひとつ知っておいていただきたいのが、「日本で承認されること」と「気軽に処方を受けられること」は別だという点です。

国内で肥満症の薬として承認されたウゴービやゼップバウンドは、対象となる方の条件や、処方できる医療機関の要件が細かく決められています。オルホルグリプロンも同じような枠組みになる可能性があり、どこまで使いやすくなるかは承認後でないと分かりません。

いま日本で始められるGLP-1の料金
・リベルサス(飲み薬)3mg:月8,780円(3ヶ月まとめ定期なら月8,200円)
・マンジャロ(週1回の注射)2.5mg:月16,800円(3ヶ月まとめ定期なら月13,800円)
・診察料0円、定期購入の縛り・違約金なし
どの薬が合うかは、医師が診察で判断します
リベルサスの料金と流れマンジャロの料金と流れ

どのくらい痩せる?試験の結果

効果を確かめた大きな試験がいくつも行われています。ダイエット目的の方に関係が深いのは、糖尿病のない肥満の方を対象にした試験です。

海外の試験:72週で平均11%の減少

9か国・3,127人が参加した試験(ATTAIN-1)では、72週間(約1年半)飲み続けた結果、次のように体重が減りました。

試験で使った量体重の変化(72週)
偽薬(有効成分なし)−2.1%
6mg−7.5%
12mg−8.4%
36mg−11.2%

体重80kgの方なら、最も多い量で約9kgの計算です。最も多い量を最後まで飲み続けた方だけで見ると−12.4%で、半数以上(54.6%)の方が10%以上体重を減らしています。

日本人だけの試験:72週で約6〜9%の減少

日本人の肥満症の方238人を対象にした試験(ATTAIN-J)も行われ、2026年7月に結果が公開されました。

試験で使った量体重の変化(72週)
偽薬−0.6%
6mg−5.9%
12mg−8.7%
36mg−7.9%

ここは見落とされがちなポイントです。日本人の試験では、海外より減り方がやや控えめで、最も多い量より中間の量のほうが減っていました。

もともとの体重が海外の参加者より軽いことなど、理由はいくつか考えられます。いずれにしても、海外の「−12%」という数字をそのまま日本人に当てはめるのは早計です。医師としては、日本人のデータで「5〜9%前後」と考えておくのが現実的だと思います。

オルホルグリプロンの72週の体重変化。海外試験では36mgで−11.2%、日本人の試験では12mgで−8.7%、36mgで−7.9%
日本人の試験では、海外より減り方が控えめでした

「試験の量」と「アメリカで売られている量」は数字が違います

試験ではカプセル(6mg・12mg・36mg)が使われましたが、アメリカで発売された錠剤は0.8mg〜17.2mgの6種類です。製剤が違うため、mgの数字だけを比べても意味がありません。「36mgと17.2mgのどちらが強いか」といった比較はしないようにしてください。

飲み方と量(アメリカでの使い方)

日本で承認されたときの用量はまだ決まっていません。参考として、アメリカの添付文書(薬の公式説明書)の内容をご紹介します。

項目アメリカでの決まり
回数1日1回、1錠
タイミング食事と一緒でも空腹時でもよい
飲み方割らず、砕かず、かまずにそのまま
始める量0.8mg
増やし方30日以上あけて1段階ずつ(2.5→5.5→9→14.5→17.2mg)
最大量1日17.2mg
飲み忘れ気づいたら飲む。2回分をまとめて飲まない。7日以上続けて忘れたら低い量からやり直し
オルホルグリプロンの米国での増量の流れ。0.8mgから始め、30日以上あけて2.5mg、5.5mgへ。その後は効果と副作用を見て9mg、14.5mg、17.2mgへ
少しずつ量を上げて体を慣らすのは、マンジャロ・リベルサスと同じ考え方です

ゆっくり増やすのは、吐き気などの胃腸の副作用を抑えるためです。「飲み方は自由、ただし増やし方は慎重に」というのが、この薬の特徴といえます。

副作用と注意点

副作用の出方は、ほかのGLP-1の薬とよく似ています。アメリカの添付文書に載っている頻度は次のとおりです。

症状オルホルグリプロン偽薬
吐き気26〜35%10%
便秘20〜27%9%
下痢21〜25%11%
嘔吐13〜24%4%
副作用で服用をやめた人6〜10%3%

量が多いほど頻度は上がります。3〜4人に1人は吐き気を感じる計算で、飲み薬だから副作用が軽い、というわけではありません。

後で紹介するリベルサスとの比較試験でも、副作用でやめた人はオルホルグリプロンのほうが約2倍多い結果でした。効き目が強いぶん、胃腸への負担も大きい薬だと理解しておいてください。

使えない人・注意が必要な人

アメリカの添付文書では、次のような方は使えない、または注意が必要とされています。

  • 本人や家族に甲状腺髄様がんがある方、多発性内分泌腫瘍症2型(MEN2)の方:使えません
  • 妊娠中・妊娠を希望している方:妊娠が分かったら中止します
  • 飲むタイプの避妊薬(ピル)を使っている方:飲み始めと増量のたびに30日間は、ほかの避妊法への切り替えか併用が必要です
  • 膵炎・胆のうの病気・重い胃の病気がある方、重い肝臓の病気がある方
  • インスリンなど血糖を下げる薬を使っている方(低血糖に注意)

ピルとの飲み合わせは、リベルサスやマンジャロにはない注意点です。承認後に使う場面が来たら、必ず診察で伝えてください。

承認を待つあいだも、いまある薬で始められます。「飲み薬がいい」「注射でもかまわない」など、ご希望をうかがって一緒に選びます。

・来院不要、スキマ時間でオンライン診察
・診察代0円、費用はお薬代のみ
・リベルサス3mgは月8,780円〜
・お薬は自宅へお届け、縛り・違約金なし

リベルサス・マンジャロとの違い

いま日本で使える2つの薬と並べると、違いがはっきりします。

オルホルグリプロンリベルサスマンジャロ
飲み薬・1日1回飲み薬・1日1回注射・週1回
飲み方・打ち方の制限なし起床時の空腹時・水120mL以下・30分飲食不可週1回、同じ曜日に
日本での承認未承認(申請中)承認済み(2型糖尿病の薬として)承認済み(2型糖尿病の薬として)
当院での処方できませんできますできます
オルホルグリプロン、リベルサス、マンジャロの比較。オルホルグリプロンは飲み方の制限がないが日本では未承認。リベルサスは朝の空腹時の決まりがある。マンジャロは週1回の注射
いま日本で処方を受けられるのは、リベルサスとマンジャロです

リベルサスと直接比べた結果

オルホルグリプロンとリベルサス(有効成分セマグルチド)は、2型糖尿病の方1,698人を対象に、52週間にわたって直接比べられています(ACHIEVE-3)。それぞれ最も多い量どうしの結果は次のとおりです。

52週の結果オルホルグリプロン36mgリベルサス14mg
HbA1c(血糖の目安)の低下−2.2%−1.4%
体重の変化−9.2%−5.3%
副作用でやめた人9.7%4.9%

効き目ではオルホルグリプロンが上回りましたが、続けやすさではリベルサスに分がある、という結果です。「新しい薬のほうが何でも優れている」わけではありません。

なお、この試験は糖尿病の方が対象で、ダイエット目的の方にそのまま当てはまるとは限りません。リベルサスで副作用なく順調に体重が落ちている方は、無理に切り替えを考える必要はないと私は考えています。

マンジャロとはどちらが痩せる?

気になるところですが、オルホルグリプロンとマンジャロを直接比べた試験はまだありません。別々の試験の数字を並べて「どちらが上」と決めることはできないため、当院ではそうした比較はしていません。

参考になるのが、注射薬から切り替えた人を追った試験(ATTAIN-MAINTAIN)です。注射薬で体重を落とした方がオルホルグリプロンに切り替えたところ、ウゴービから切り替えた方は1年後の戻りが平均0.9kgにとどまりました。一方、より強いゼップバウンドから切り替えた方は平均5.0kg戻っており、元の薬によって保ちやすさは違うようです。将来的には「注射で落として、飲み薬で保つ」という使い方が広がるかもしれません。

海外から取り寄せるのはおすすめしません

「アメリカでは売っているなら、個人輸入で手に入らないか」というご相談もいただきます。医師としてはおすすめしません

  • 本物かどうか確かめる手段がない:話題の薬ほど、偽物が出回りやすくなります
  • 副作用が出ても国の救済制度の対象外:未承認の薬による健康被害は、公的な補償を受けられません
  • 量の上げ方や飲み合わせを誰も見ていない:上で見たとおり、増やし方やピルとの関係に注意が必要な薬です

アメリカでも処方には医師の診察が必要な薬です。日本で承認されるのを待ち、正規のルートで使うのがいちばん安全です。

医師の考え:承認を待つか、いま始めるか

「新しい薬が出るなら、それまで待ったほうがいいですか?」とよく聞かれます。私の考えは次のとおりです。

こんな方医師の考え
健康診断で体重や血糖を指摘されている待たずに始めることをおすすめします
リベルサスを飲んでいて、朝の決まりがつらい飲み方の工夫か、マンジャロへの切り替えを相談
注射はどうしても避けたいリベルサスから始め、承認後に切り替えを検討
急いでいない、新薬の情報を見てから決めたい待つのも一つの選択です

承認の時期が見えない以上、「いつか出る薬」を待つあいだに体重が増えてしまうのが一番もったいないと私は考えています。GLP-1の薬どうしは切り替えができるので、いまの薬で始めておき、承認されたときに改めて比べても遅くありません。

「待つか、始めるか」も診察でご相談いただけます。いまの体重や生活リズムをうかがったうえで、無理のない方法をご提案します。

・診察代0円、相談だけでもOK
・マンジャロ2.5mgは3ヶ月まとめ定期で月13,800円
・リベルサス3mgは月8,780円〜
・定期購入の縛り・違約金なし

よくある質問

Q:日本で承認されたら、すぐに当院で処方してもらえますか?

承認された内容(対象となる方や処方の条件)を確認してから判断します。現時点でお約束はできませんが、承認の動きがあれば、この記事を更新してお伝えします。

Q:アメリカではいくらで売られていますか?

リリー社の発表では、保険を使わない場合で最も少ない量が月149ドルからです。ただし、日本で承認された場合の価格はまったく別に決まるため、参考程度にとどめてください。

Q:いまリベルサスを飲んでいます。承認されたら切り替えられますか?

同じGLP-1の薬どうしなので、切り替え自体は可能になると考えられます。ただし用量の目安は承認内容しだいです。それまでは自己判断でリベルサスをやめず、そのまま続けてください。

Q:飲み薬なら、注射より副作用が少ないですか?

そうとは限りません。上で見たとおり、吐き気は3〜4人に1人に出ています。飲み薬か注射かより、量を少しずつ上げることが副作用を抑えるいちばんのポイントです。

まとめ

・オルホルグリプロンは中外製薬が生み出した飲むGLP-1の新薬。アメリカでは2026年4月に承認
日本では申請中で、まだ承認されていない(処方できない)
・最大の特徴は、食事や水の制限なく1日のいつでも飲めること
・海外の試験では72週で約11%、日本人の試験では約6〜9%の体重減少
・吐き気などの副作用はほかのGLP-1と同程度かやや多め。ピルとの飲み合わせに注意
・個人輸入はおすすめしない

新しい薬が出てくるのは、治療の選択肢が増えるという意味で心強いことです。ただ、承認を待つあいだにも、いま使える薬で始めることはできます。迷ったときは、診察でお気軽にご相談ください。

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2.5mgは3ヶ月まとめ定期で月13,800円。診察料0円。

参考文献・出典

この記事は、以下の製薬会社・公的機関・論文が公開している情報を参照して作成しています(2026年9月時点)。

この記事の監修者

中山 樹 医師
Itsuki Nakayama

資格
日本美容外科学会員/内科学会員/産業医テストステロン治療認定医/再生医療抗加齢学会正会員/日本再生医療学会正会員/厚労省指定オンライン診療研修修了 等

ダイエット診療のプロ
監修医師 中山樹

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