マンジャロでめまいが起こる?原因と対処、すぐ受診すべき症状を医師が解説

2026.10.26   2026.10.30

「マンジャロを始めてから、立ち上がったときにくらっとする」「なんとなくふわふわして落ち着かない」——こうしたご相談は、当院にも寄せられます。マンジャロ使用中のめまいは、薬そのものよりも「水分・食事・血糖・血圧」の変化が関係していることが多いと考えられています。

この記事では、添付文書(お薬の公式な説明書)にどう書かれているかを確かめたうえで、考えられる原因、その場でできる対処、毎日の予防のコツ、そして「すぐに受診してほしいサイン」までを、医師監修のもと整理しました。

目次

まず結論:めまいの多くは「体の中の変化」が引き金

添付文書ではどう書かれている?

マンジャロ(成分名:チルゼパチド)の添付文書では、「めまい」は単独の副作用としてではなく、低血糖のときにあらわれる症状のひとつとして記載されています。また、その他の副作用として「低血圧」「血圧低下」が1%未満の区分で挙げられています。

なお、同じ成分で肥満症の治療薬として承認されている「ゼップバウンド」の添付文書には、「浮動性めまい」(ふわふわするめまい)が1〜5%未満の区分で記載されています。つまり、同じ成分を使う方の中に、めまいを感じる方が一定数いることは想定されているということです。

多くは一時的。ただし見逃してはいけないめまいもある

食事量が減った始めのころや、量を上げた直後に、水分不足や立ちくらみからくるめまいを感じる方がいます。生活の工夫で軽くなることが多い一方で、低血糖や強い脱水、脳や心臓の病気が隠れているめまいは、すぐに対応が必要です。「よくあることだから」と決めつけず、後半の「受診の目安」もあわせて確認してください。

マンジャロ使用中にめまいが起こる主な原因

① 食事量が減り、水分も足りていない

マンジャロを使うと食欲が落ち、食事の量が自然と少なくなります。私たちは水分の一部を食事からとっているため、食べる量が減ると、気づかないうちに体の水分も足りなくなりがちです。汁物やご飯、果物が減るだけでも、とれる水分はかなり変わります。

水分が不足すると血液の量が減り、頭に届く血の流れが一時的に弱くなって、ふらつきや立ちくらみにつながります。「のどが渇く前」に少しずつ飲むことが大切です。

② 吐き気・嘔吐・下痢のあとの脱水

マンジャロでよくみられる副作用は、吐き気・嘔吐・下痢などの胃腸の症状です。吐いたり下痢が続いたりすると、水分と一緒に塩分などのミネラルも失われ、脱水になりやすくなります。添付文書でも、下痢や嘔吐から脱水が続き、腎臓の働きが急に悪くなる(急性腎障害)おそれについて注意が書かれています。

胃腸の症状が出ている時期のめまいは、まず脱水を疑ってください。水だけでなく、経口補水液などでミネラルも一緒に補うのがおすすめです。

③ 低血糖(とくに糖尿病の薬と一緒に使っている方)

マンジャロは血糖値が高いときに働きやすい仕組みのため、単独で使っている場合、重い低血糖は起こりにくいとされています。ただし、添付文書では低血糖が重大な副作用(頻度不明)として挙げられ、症状として脱力感、強い空腹感、冷や汗、顔色が青白くなる、動悸、手のふるえ、頭痛、めまい、吐き気、見え方の異常などが記載されています。

とくに注意が必要なのは、インスリン製剤やスルホニルウレア剤(SU薬)など、血糖を下げる薬と一緒に使っている方です。これらとの併用で、意識を失うほどの重い低血糖が報告されています。このほか添付文書では、食事が不規則・食事量が足りない、激しい運動、お酒の飲みすぎなども、低血糖を起こしやすい状態として挙げられています。

④ 血圧が下がっている(血圧の薬を飲んでいる方・体重が減った方)

添付文書には、その他の副作用として「低血圧」「血圧低下」が記載され、血圧低下がみられた場合は状態をよく観察するよう書かれています。体重が減ると、それに伴って血圧が下がる方もいます。

もともと血圧を下げる薬を飲んでいる方は、体重が減ってきたころに「薬が効きすぎる」状態になり、めまいやふらつきが出ることがあります。ただし、血圧の薬を自己判断で減らしたりやめたりするのは避けてください。家庭で血圧を測り、その記録を持って、血圧の薬を出している主治医に相談するのが確実です。

⑤ 急な立ち上がり(立ちくらみ)

寝ている姿勢や座った姿勢から急に立つと、血液が一時的に足のほうへ下がり、頭に届く血が少なくなって「くらっ」とします。水分不足や血圧の低下が重なると、この立ちくらみが起こりやすくなります。朝起きてすぐ、お風呂上がり、長く座ったあとは特に注意してください。

⑥ マンジャロ以外の原因もありえます

めまいは、耳の奥(平衡感覚をつかさどる部分)の病気、貧血、睡眠不足、ほかのお薬の影響、脳や心臓の病気など、さまざまな原因で起こります。「マンジャロを使っているから」と決めつけず、周りがぐるぐる回る、耳鳴りや聞こえにくさがある、といった場合は、耳鼻科など専門の診療科での確認も考えてください。

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めまいの原因を見分ける目安

めまいの起こり方や一緒に出ている症状から、原因のあたりをつけることができます。あくまで目安で、自己判断で決めつけるためのものではありません。迷ったときは医師にご相談ください。

こんなとき一緒に出やすいサイン考えられる原因
食事量が減った・あまり飲んでいないのどの渇き、尿の色が濃い、だるさ水分不足
吐き気・嘔吐・下痢のあと尿の量が少ない、口の中が乾く脱水
糖尿病の薬と一緒に使っている・食事を抜いた冷や汗、手のふるえ、強い空腹感、動悸低血糖
血圧の薬を飲んでいる・体重がかなり減った立つとふらつく、血圧がいつもより低い血圧の低下
立ち上がった瞬間だけ数秒〜数十秒でおさまる立ちくらみ
周りがぐるぐる回る耳鳴り、聞こえにくさ耳の病気など、別の原因

めまいを感じたときの対処法

その場ですること

  • まず座るか横になる。倒れてけがをするのを防ぐことが最優先です
  • 横になれるなら、足を少し高くすると楽になることがあります
  • 落ち着いたら、水や経口補水液を少しずつ飲む
  • おさまっても、すぐに歩き出さず、ゆっくり立ち上がる

低血糖が疑われるとき

冷や汗、手のふるえ、強い空腹感、動悸などがあり低血糖が疑われるときは、ブドウ糖や砂糖を含む飲み物など、糖分をすぐにとってください。添付文書でも、糖質を含む食品をとるなどの対応が示されています。

ただし、α-グルコシダーゼ阻害剤(食後の血糖の上がり方をおさえる飲み薬)を一緒に飲んでいる方は、砂糖では効きにくいため、ブドウ糖をとることが添付文書に書かれています。糖尿病の治療中の方は、ふだんからブドウ糖を持ち歩くようにしてください。糖分をとっても良くならない、意識がぼんやりしてきた場合は、ためらわず救急車を呼んでください。

水分・食事のとり方

脱水が疑われるときは、一度にたくさん飲むより、ひと口ずつこまめに飲むほうが吐き気を起こしにくく、体にも吸収されやすくなります。食事がとれない日も、スープ、ゼリー、ヨーグルトなど、のどを通りやすいもので少しでも水分とエネルギーを補ってください。

めまいがある日に、次の注射を打ってよいか迷う場合は、自己判断せずにご相談ください。症状の程度によって、打つ量やタイミングを医師と一緒に考えます。

めまいやふらつきの不安は、そのままにせずご相談ください。当院では治療中も公式LINEから医師にご相談いただけます。

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めまいを防ぐための毎日の工夫

① 水分は「時間を決めて」少しずつ

食欲がないときは、のどの渇きも感じにくくなります。起きたとき、食事のとき、入浴の前後、寝る前など、飲むタイミングをあらかじめ決めておくと、飲み忘れを防げます。尿の色が濃い黄色になっていたら、水分が足りていないサインです。心臓や腎臓の病気で水分を制限されている方は、主治医の指示を優先してください。

② 食事は抜かず、少量でも回数を分ける

「食べたくないから一食抜く」を続けると、エネルギー不足でふらつきやすくなります。一回の量は少なくてかまいませんので、1日3回、または小分けに4〜5回食べるようにしてください。たんぱく質(卵、豆腐、魚、ヨーグルトなど)を意識すると、体力の低下も防ぎやすくなります。

③ 立ち上がるときは「ひと呼吸」おく

朝は布団の上でいったん座り、数秒おいてからゆっくり立つ。それだけで立ちくらみはかなり減らせます。長湯や熱いお風呂、サウナは血圧が下がりやすいので、めまいが気になる時期は控えめにしましょう。

④ お酒と激しい運動は控えめに

添付文書では、過度の飲酒や激しい運動も、低血糖を起こしやすい状態として挙げられています。お酒は脱水も進めます。食事量が減っている時期は、空腹での飲酒や、食事を抜いたままの激しい運動は避けてください。

⑤ 量を上げた直後は様子を見る

吐き気などの胃腸の症状は、使い始めや量を上げた直後に出やすい傾向があります。それに伴う脱水からめまいが出ることもあるため、量を上げた週は、水分と食事をいつも以上に意識してください。つらい症状が続く場合は、量を上げるペースを医師と相談して調整することもできます。

車の運転・高い所での作業は注意してください

マンジャロの添付文書には、低血糖を起こすことがあるため、高い所での作業や自動車の運転などに従事している方に使うときは注意するよう記載されています。

  • めまいやふらつきがあるときは、運転や高い所での作業をしない
  • 運転中に冷や汗やふるえを感じたら、安全な場所に車を止めて糖分をとる
  • 糖尿病の薬を併用している方は、運転前に食事をとり、ブドウ糖を車内に置いておく
  • お仕事で運転や高い所での作業がある方は、診察時にお知らせください

すぐに救急・医療機関を受診してほしい症状

次のような症状がある場合は、様子を見たり、LINEの返信を待ったりせず、すぐに救急車を呼ぶか、近くの医療機関を受診してください。脳や心臓の病気、重い低血糖、強い脱水などが隠れている可能性があります。

  • 意識が遠のく、気を失った、倒れた
  • ろれつが回らない、言葉が出にくい、顔がゆがむ
  • 手足のしびれや麻痺、力が入らない、まっすぐ歩けない
  • ものが二重に見える、急に見えにくくなった
  • 胸の痛み、強い動悸、息苦しさ
  • これまでにない激しい頭痛
  • 冷や汗・ふるえがあり、糖分をとってもよくならない(低血糖の疑い)
  • 水分がとれない、吐き続けている、半日以上ほとんど尿が出ない
  • 嘔吐を伴う、お腹や背中の激しい痛みが続く(すい臓の炎症の初期症状として添付文書に記載)

救急車を呼ぶか迷うときは、お住まいの地域の救急相談窓口(#7119など)を利用する方法もあります。受診の際は、マンジャロを使っていること、最後に打った日、ほかに飲んでいるお薬を伝えてください。

早めに医師へ相談してほしい症状

  • 軽いめまいやふらつきが、数日たっても続く・くり返す
  • 立ちくらみの回数が増えてきた
  • 家庭で測る血圧が、いつもより明らかに低い
  • 吐き気や下痢が続き、食事や水分がとりにくい
  • 体重の減り方が早すぎると感じる

相談するときに伝えると助かること

  • めまいが出た日時と、そのとき何をしていたか(立ち上がったとき、食事の前など)
  • どんなめまいか(くらっとする、ふわふわする、ぐるぐる回る)
  • いまの量(2.5mg、5mgなど)と、最後に打った日
  • 食事と水分がどのくらいとれているか、吐き気や下痢の有無
  • ほかに飲んでいるお薬(とくに血圧・糖尿病のお薬)、測っていれば血圧の記録

よくある質問

Q. マンジャロでめまいが出るのはよくあることですか?

A. マンジャロの添付文書では、めまいは低血糖の症状のひとつとして書かれています。同じ成分のゼップバウンドの添付文書では、ふわふわするめまいが1〜5%未満の区分で記載されています。誰にでも起こるものではありませんが、食事量や水分量が減る時期に感じる方はいます。

Q. めまいはいつまで続きますか?

A. 原因によって異なります。水分不足や立ちくらみが原因であれば、水分と食事を整えることで軽くなることが多いです。数日たっても続く、くり返す場合は、ほかの原因も考える必要がありますので、ご相談ください。

Q. めまいがある日も、注射を打ってよいですか?

A. 症状の程度や原因によって判断が変わるため、迷うときは打つ前にご相談ください。吐き気や下痢が強く水分もとれない状態であれば、まずは体調を整えることを優先します。

Q. マンジャロだけでも低血糖になりますか?

A. 単独で使う場合、重い低血糖は起こりにくいとされています。ただし、インスリンやSU薬などと一緒に使っている方、食事を極端に減らしている方、激しい運動やお酒の飲みすぎがある方は注意が必要です。冷や汗やふるえを感じたら、すぐに糖分をとってください。

Q. 血圧の薬を飲んでいます。マンジャロは使えますか?

A. 多くの場合、使えないわけではありません。ただし、体重が減るにつれて血圧が下がり、めまいが出やすくなることがあります。診察時にお薬の名前をお知らせください。血圧の薬を自己判断でやめたり減らしたりするのは避け、主治医にご相談ください。

Q. めまいがあるときに車を運転してもいいですか?

A. めまいやふらつきがあるときは、運転は控えてください。添付文書にも、低血糖を起こすことがあるため、運転や高い所での作業をする方は注意するよう書かれています。

Q. ぐるぐる回るようなめまいもマンジャロのせいですか?

A. 周りがぐるぐる回るめまいは、耳の奥の病気などが原因のこともあります。マンジャロとは別の原因も考えられるため、耳鳴りや聞こえにくさがあれば耳鼻科での確認もおすすめします。手足のしびれやろれつが回らない症状を伴う場合は、すぐに救急受診してください。

Q. めまいが続くときは、やめたほうがいいですか?

A. 自己判断で中止する前にご相談ください。量を据え置く、上げるペースをゆっくりにするなど、続け方を調整できる場合もあります。それでもつらい場合は、別の治療の選択肢も一緒に考えます。

まとめ:めまいは「水分・食事・血糖・血圧」を見直すサイン

マンジャロ使用中のめまいは、食事量の低下や脱水、低血糖、血圧の低下、急な立ち上がりなどが重なって起こることが多いと考えられます。こまめな水分補給、食事を抜かないこと、ゆっくり立ち上がることが、毎日できる対策です。

一方で、意識が遠のく、ろれつが回らない、手足がしびれる、胸が痛む、冷や汗やふるえが続く、水分がとれないといった場合は、すぐに医療機関を受診してください。軽いめまいでも、続くときやくり返すときは、ひとりで抱えずお知らせください。

なお、マンジャロは国内では2型糖尿病の治療薬として承認されているお薬です。体重を減らす目的での処方は、保険が使えない自由診療となります。

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参考文献・出典

この記事は、以下の公的機関・学会が公開している情報を参照して作成しています。

マンジャロについて
未承認医薬品等(適応外使用)
マンジャロ(一般名:チルゼパチド)は、2型糖尿病の治療薬として厚生労働省に承認されています。肥満治療目的での処方は国内では承認されていません。2型糖尿病以外の治療目的に使用する場合は、適応外使用となります。
入手経路等
国内の医薬品卸業者より国内承認薬を仕入れています。

製造販売元:日本イーライリリー株式会社
販売元:田辺三菱製薬株式会社
国内承認医薬品等の有無

マンジャロと同成分で肥満症の承認を得ている医薬品としてゼップバウンドがあります。
諸外国における安全性等に係る情報
同一成分の注射製剤がアメリカ食品医薬品局(FDA)で肥満症治療薬として承認されていますが、諸外国でも美容・痩身・ダイエット等を目的とした使用は承認されていないため、重大なリスクが明らかになっていない可能性があります。
医薬品副作用被害救済制度について

万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。

※当サービスはすべて自由診療となります

この記事の監修者

中山 樹 医師
Itsuki Nakayama

資格
日本美容外科学会員/内科学会員/産業医テストステロン治療認定医/再生医療抗加齢学会正会員/日本再生医療学会正会員/厚労省指定オンライン診療研修修了 等

ダイエット診療のプロ
監修医師 中山樹

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