マンジャロ(チルゼパチド)によるダイエット治療を検討している方から、「甲状腺の病気があっても使えますか?」というご質問をよくいただきます。結論からいうと、甲状腺の病気の種類によって「使えないケース」と「注意しながら使えるケース」があります。この記事では、バセドウ病・橋本病(甲状腺機能低下症)・甲状腺腫瘍など、ケース別の考え方を医師監修のもとわかりやすく解説します。
なぜマンジャロと甲状腺の関係が注意されるのか
マンジャロと同じ仕組みをもつ薬(GLP-1受容体作動薬)を動物に投与した実験で、甲状腺の「C細胞」という部分の腫瘍が増えたという報告があるためです。人間で同じことが起こると証明されたわけではありませんが、念のため世界的に注意喚起が行われています。
また、甲状腺は代謝や体重と深く関わるホルモンの臓器です。甲状腺の病気を治療中の方が体重の大きく変わるダイエット治療を行う場合、お薬の量の調整や経過の管理に配慮が必要になります。
使えないケース:甲状腺髄様がん・MEN2型
次に当てはまる方には、当院ではマンジャロを処方していません。
・甲状腺髄様がんになったことがある方、または血縁のご家族にいる方
・多発性内分泌腫瘍症2型(MEN2型)と診断されている方、または血縁のご家族にいる方
海外の添付文書では、これらの方への使用は禁忌(使用してはいけない)とされています。診察の際は、ご自身だけでなくご家族の病歴も必ずお伝えください。
バセドウ病(甲状腺機能亢進症)の場合
バセドウ病そのものは、マンジャロが使えない病気ではありません。ただし次の点に注意が必要です。
・甲状腺ホルモンの値が安定していること(コントロールが不十分な時期は避けます)
・動悸や体重減少などバセドウ病の症状と、マンジャロの副作用の区別がつきにくいこと
主治医での治療状況を確認した上で、慎重に判断します。診察時にはお薬手帳をご用意ください。
橋本病・甲状腺機能低下症の場合
チラーヂン(レボチロキシン)などで治療中の方も、ホルモン値が安定していれば使用できることが多いです。注意点は2つです。
・体重が大きく減ると、チラーヂンの必要量が変わることがあります
・マンジャロは胃の動きをゆっくりにするため、飲み薬の吸収に影響する可能性があります
使用を始めたら、かかりつけ医での定期的な血液検査(TSHなど)を続けながら、必要に応じてお薬の量を調整してもらいましょう。
甲状腺腫瘍・結節を指摘されたことがある方
健康診断などで「甲状腺に結節(しこり)がある」と言われたことがある方は、その種類によって判断が変わります。良性の結節であれば使用できる場合もありますが、精密検査を受けていない場合は、先に甲状腺の評価を受けることをおすすめします。
甲状腺の持病があっても、一律に使えないわけではありません。直近の検査結果と服用中のお薬をお知らせいただければ、診察で個別に判断します。
・来院不要、スキマ時間でオンライン診察
・診察代・送料0円、費用はお薬代のみ
・医師が症状に合わせてアドバイス
・お薬は最短当日発送、自宅へお届け
診察のときに必ず伝えてほしいこと
・甲状腺の病名と現在の治療内容(お薬の名前・量)
・直近の血液検査の結果(わかる範囲で構いません)
・ご家族の甲状腺の病気(特に髄様がん)
・首の腫れ・しこり・声のかすれなど、気になる症状
当院のオンライン診療では、これらを確認した上で処方の可否を医師が判断します。判断に迷う場合は無理に処方せず、対面での検査をご案内することがあります。
甲状腺の薬を飲んでいる場合はどう考える?
チラーヂン(レボチロキシン)を服用中の方
チラーヂンを飲んでいること自体が、マンジャロを使えない理由になるわけではありません。ただしマンジャロには胃の内容物が送り出される速さをゆるやかにするはたらきがあるため、飲み薬の吸収のされ方に影響する可能性があります。
服用のタイミングや、甲状腺の数値を定期的に確認する必要があるかは、状態によって変わります。処方を受けている医療機関と当院の双方で確認しながら進めるのが安全です。
メルカゾールなど抗甲状腺薬を服用中の方
バセドウ病の治療中で薬を飲んでいる場合は、まず甲状腺の数値が落ち着いているかどうかが判断の分かれ目になります。治療を始めたばかりの時期や、数値が動いている時期は、体重の変化が病気によるものか薬によるものか区別しにくくなります。
数値が安定しているかが判断のポイント
直近の血液検査の結果(TSH・FT4など)をお持ちであれば、診察でお知らせください。数値と治療の経過が分かると、判断がはっきりします。お手元になければ、主治医に確認していただく形でも構いません。
健康診断で甲状腺の異常を指摘された方へ
まず確認したいこと
健康診断で指摘される内容はさまざまです。「数値の異常」なのか、「首のしこり・腫れ」なのかで、確認すべきことが変わります。
・血液検査の数値を指摘された → 精密検査を受けたか、結果はどうだったか
・首の腫れやしこりを指摘された → 超音波検査を受けたか、経過観察の指示が出ているか
・過去に指摘されたが放置している → まず甲状腺の状態を確認することを優先します
指摘されただけで諦める必要はありません
甲状腺に何らかの所見があること自体は、マンジャロを一律に使えない理由にはなりません。使えないと明確に決まっているのは、甲状腺髄様がんの既往や家族歴、MEN2型(多発性内分泌腫瘍症2型)にあたる場合です。
それ以外は、状態を確認したうえで個別に判断します。「持病があるから無理だろう」と自己判断で諦めず、まずはご相談ください。
検査結果の見方——「安定している」とはどういう状態か
診察で「数値が安定していますか」とお聞きするのは、この3つの項目を指しています。健康診断や主治医の検査結果をお持ちでしたら、そのままお見せいただくのがいちばん早く進みます。
| 項目 | 何を見ているか | ひとこと |
|---|---|---|
| TSH | 脳から甲状腺への指令の強さ | いちばん敏感に動く。高い=はたらきが弱い、低い=強すぎる |
| FT4 | 甲状腺ホルモンの本体 | 薬の量が合っているかの目安になる |
| FT3 | 活性の高いホルモン | バセドウ病の勢いを見るときに重視される |
「安定している」とは、これらが基準の範囲に入っていて、直近数ヶ月で大きく動いていない状態を指します。数値そのものより、落ち着いた状態が続いているかどうかが判断のポイントです。1回だけの結果より、前回・前々回と並べて見えるほうが確かな判断ができます。
検査を受けたことがない方は
甲状腺の項目は、一般的な健康診断には含まれていないことがほとんどです。「健診で何も言われていない=甲状腺は正常」とは限りません。ご家族に甲状腺の病気がある方、首の腫れを指摘されたことがある方は、内科や甲状腺の専門クリニックで採血を受けておくと安心です。

甲状腺の薬を飲んでいる方に、知っておいてほしいこと
併用そのものが禁止されているわけではありません。ただし減量が進む過程で、薬の量が合わなくなることがあります。この点は見落とされやすいので、あらかじめお伝えしておきます。
体重が減ると、必要な薬の量が変わることがあります
チラーヂン(レボチロキシン)は、体重を目安に量を決めることがあるお薬です。そのため大きく減量したあと、それまでと同じ量では多すぎる状態になる可能性があります。動悸、手のふるえ、汗が増える、眠れないといった症状は、そのサインのことがあります。
ご自身で量を減らさないでください。マンジャロで減量する予定であることを主治医に伝え、採血の間隔を相談しておくことをおすすめします。体重が大きく動く時期は、ふだんより短い間隔で確認していただくのが安全です。
飲むタイミングにも注意を
チラーヂンは空腹時に飲むことが基本のお薬です。マンジャロには胃の中身が先へ送られるのを遅くする作用があるため、食事との間隔があいまいだと、吸収が安定しない可能性があります。起床後すぐに飲み、30分ほどあけてから食事をとる——という基本の飲み方を、これまで以上に守っていただくのが確実です。
抗甲状腺薬(メルカゾール、プロパジールなど)についても、自己判断での中断・減量は絶対に避けてください。マンジャロの吐き気で飲みにくいときは、その旨をご相談ください。
「甲状腺のせいで太った」と感じている方へ
甲状腺のはたらきが弱い状態(機能低下症)では、体重が増えることがあります。ただし増えた分のかなりの部分は、脂肪ではなくむくみ(水分)だと考えられています。ここを取り違えると、順番を間違えてしまいます。
まず数値を整えるのが先です
甲状腺の治療が済んでいない状態で減量だけを進めても、思うような結果になりにくいのが実際のところです。ホルモンの量が足りていなければ、代謝そのものが落ちたままだからです。まず内科や甲状腺の専門医で治療を受け、数値が落ち着いてから減量に取り組む——この順番をおすすめします。
数値が整うと、むくみの分は自然に戻ることがあります。そのうえで残った体重が、あらためて減量の対象になります。「甲状腺の治療をしたのに痩せない」という段階になってから、マンジャロを含めた選択肢をご相談いただくのが自然な流れです。
服用中の首のセルフチェック
むずかしい方法は必要ありません。月に1回、鏡の前で確認するだけで十分です。気になる変化があれば、その時点でご相談ください。
やり方
① 鏡の前で、あごを少し上げます
② 水を一口飲み込みます
③ のどぼとけの下あたりを見ます
飲み込むときにふくらみが上下に動くのが見えた場合は、甲状腺が腫れている可能性があります。
こんな変化に気づいたら
・首の前側の腫れ、しこりにさわれる
・声がかすれる状態が続く
・飲み込みにくい、のどのつかえ感
・首がしめつけられる感じ
これらが続く場合は、いったん使用を中止してご連絡ください。多くは甲状腺以外が原因ですが、確認しておくべき症状です。
服用を始めたあとに気をつけること
首まわりの変化に気づいたら
首の腫れ、しこり、声のかすれ、飲み込みにくさが出た場合は、様子を見ずにご連絡ください。マンジャロとの関連の有無にかかわらず、確認が必要な症状です。
体重の落ち方が急なとき
甲状腺の状態によっては、もともと体重が動きやすいことがあります。想定より急に落ちている場合は、甲状腺の数値もあわせて確認したほうがよい場合があります。
甲状腺の持病があっても、一律に使えないわけではありません。直近の検査結果と服用中のお薬をお知らせいただければ、診察で個別に判断します。
・来院不要、スキマ時間でオンライン診察
・診察代・送料0円、費用はお薬代のみ
・医師が症状に合わせてアドバイス
・お薬は最短当日発送、自宅へお届け
よくある質問
Q. バセドウ病ですが、マンジャロは使えますか?
A. バセドウ病であること自体が使えない理由にはなりません。ただし甲状腺の数値が安定しているかが判断のポイントになります。直近の検査結果と服用中のお薬を診察でお知らせください。
Q. 橋本病(甲状腺機能低下症)でも大丈夫ですか?
A. 数値が安定していて治療がコントロールできていれば、検討できる場合があります。チラーヂンなどを服用中の場合は、その内容もお伝えください。
Q. 甲状腺の腫瘍を指摘されましたが、良性と言われています。
A. 良性と診断され経過観察となっている場合は、その内容を確認したうえで判断します。診断名と、いつ・どの医療機関で言われたかをお知らせください。
Q. 家族に甲状腺の病気の人がいます。伝えるべきですか?
A. はい、必ずお伝えください。特に甲状腺髄様がんやMEN2型の家族歴がある場合は、使用できません。
Q. 甲状腺の数値を指摘されたまま、精密検査を受けていません。
A. まず甲状腺の状態を確認することを優先します。放置したまま始めるのは避けてください。どこで検査を受ければよいかも含めてご相談いただけます。
Q. マンジャロを使うと甲状腺の数値は変わりますか?
A. 体重が大きく変化すると、甲状腺ホルモンの必要量が変わる場合があります。治療中の方は、定期的な数値の確認をおすすめします。
Q. マンジャロを使うと甲状腺がんになりますか?
A. 人間で甲状腺がんが増えると証明されたわけではありません。動物実験の報告に基づく予防的な注意喚起です。ただし、甲状腺髄様がんの既往・家族歴がある方は使用できません。
Q. 甲状腺の薬(チラーヂンなど)と併用できますか?
A. 併用できることが多いですが、体重減少や胃の動きの変化でお薬の必要量が変わることがあります。かかりつけ医での定期検査を続けてください。
Q. 使用中に首の腫れや違和感が出たらどうすればいい?
A. そのまま様子を見ず、早めに医師にご相談ください。当院の患者さまは公式LINEからいつでもご連絡いただけます。
Q. チラーヂンを飲んでいます。マンジャロで痩せたら量は変わりますか?
変わる可能性があります。体重を目安に量を決めることがあるお薬のためです。大きく減量する予定であることを主治医に伝え、採血の間隔を相談しておいてください。動悸や手のふるえが出た場合は、量が多すぎるサインのことがあります。ご自身で減らさないでください。
Q. 甲状腺の検査は健康診断に入っていますか?
多くの健康診断には含まれていません。「何も言われていない=正常」とは限らないため、ご家族に甲状腺の病気がある方や首の腫れを指摘されたことがある方は、一度採血を受けておくことをおすすめします。
Q. 橋本病で太りました。マンジャロで痩せられますか?
順番が大切です。まず甲状腺の治療で数値を整えるのが先です。増えた体重にはむくみが含まれていることが多く、数値が整うだけで戻る分があります。そのうえで残った体重について、あらためてご相談ください。
Q. TSHだけ少し高いと言われました。使えますか?
数値ひとつだけでは判断できません。FT4の値、経過、症状の有無、治療中かどうかによって考え方が変わります。検査結果の紙をそのままお見せいただければ、診察で判断します。精密検査を受けていない場合は、先に受けていただくようお願いすることがあります。
Q. 首の腫れに気づきました。すぐやめるべきですか?
いったん使用を中止して、ご連絡ください。そのうえで、内科または甲状腺の専門クリニックの受診をご案内します。声のかすれや飲み込みにくさをともなう場合は、早めに受診してください。
Q. 体重の落ち方が急なのですが、甲状腺と関係ありますか?
急な体重減少は、甲状腺のはたらきが強すぎる状態でも起こります。動悸、汗が異常に多い、手のふるえ、暑がりといった症状をともなう場合は、薬の効果ではない可能性があります。自己判断せず、ご相談ください。
まとめ:自己判断で始めないことが一番大切
甲状腺の病気があるからといって、必ずしもマンジャロをあきらめる必要はありません。大切なのは、自己判断で始めず、既往歴とお薬の情報を正確に伝えることです。当院のオンライン診療では、医師が一人ひとりの状況を確認した上で、安全に始められるかどうかをご案内します。気になる方は公式LINEからお気軽にご相談ください。
▶ マンジャロのオンライン診療|検査結果をお見せください
甲状腺の数値を確認したうえで、医師が個別に判断します。
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